EMC最新動向2018-業界の主要機関がEMCの最新動向を語る特別企画-
電子情報技術産業協会(JEITA)EMC委員会では、所管の電気・電子機器に要求される、EMCおよびEMFの規格・規制に関し、調査、審議、実験等を行い、国内外関連機関に対し、協力と提案活動を推進しています。当委員会では、傘下に4つの専門委員会を設け活動していますが、各専門委員会における今年度の活動状況をご紹介することにより、これからのEMCおよびEMFに関する展望についてお伝えしたいと思います。
■マルチメディアEMC専門委員会
本専門委員会では、CISPRのSC-AおよびSC-I関連規格について審議を行っており、今年度は下記実験等を行っています。これらは、実際の製品測定に大きく係わる内容で、CISPRにおける規格化を見据えています。
- ハイブリットアンテナ相関性試験
- CISPR 32における放電ノイズ等の APD 測定 に関する調査
- FARの電源インピーダンスによる影響の調査
- EUTサイズ vs 測定距離換算に関する調査
また本年度は、マルチメディア機器イミュニティ規格CISPR35第1版に対する国内答申案作成に関して、本専門委員会からも参画しております。
■ISMEMC専門委員会
ISM(工業、科学、医療)機器、大型機器等のEMC問題への対応を検討する本専門委員会は、CISPR SC-BおよびSC-Hの関連規格について審議を行っています。また、現在進められているIEC 60601-1-2 Ed.5.0の検討における課題への対応として以下の実験を行う予定です。
- 相対湿度変化に伴う気中放電試験(IEC 61000-4-2)に関わるパラメータの観測実験
■EMC共通技術専門委員会
本専門委員会は、IEC/SC 77AおよびSC77Bを中心とした製品共通のEMC課題について審議しています。SC 77AおよびSC 77Bの多岐にわたる課題の中から、現在以下に関する実験等を行いながら審議を進め、国際規格作成に寄与しており、今年度は以下の実験を実施予定です。
- IEC 61000-2-2電磁両立性レベル(2~150kHz)におけるエミッションレベル評価方法の検討実験
- IEC 61000-4-2 ESDガンからの不要輻射の影響調査
- 近接イミュニティ試験の印加面削減要件の拡充実験
また、JEITAの意見反映に努めるべく、JIS C 61000-3-2、JIS C 61000-6-1、JIS C 61000-6-2の改正原案作成作業、IEC 61000-4-11、IEC 61000-4-18等の審議に参画しております。
■EMF専門委員会
電子情報機器から発生する電磁界に対する人体ばく露(EMF)及び健康への影響に関連する国内外の情報収集および公開、標準化活動参画や検証実験を通じたユーザの福利推進活動を行っております。
- EMFに関する規格/規制動向調査:次世代無線通信評価方法/海外EMF法令
- EMF評価方法に関する実験(例:小型卓上機器の低周波磁界評価におけるEUT設置条件の確認)
- IEC TC106の国内委員会への委員の派遣、規格策定作業へのエキスパート派遣(IEC MT62311)
ここでご紹介した当委員会の活動の一部は、どの内容も電子情報機器に関連するこれからのEMCおよびEMFに対して重要に関係するものです。本年も一部継続と新たな課題にも取り組み、業界の役割を果たすと共に、国内および国際的に寄与して参ります。