EMC最新動向2018-業界の主要機関がEMCの最新動向を語る特別企画-
電気学会電磁環境技術委員会は、電気学会のA部門(基礎・材料・共通部門)に1999年(平成11年)に設置され、電磁妨害の発生要因(高電圧、静電気、大電流、放電、パワーエレクトロニクス機器など)、電磁妨害の発生実態、EMCのための計測技術、電磁妨害の対策技術、国内外のEMC関連規格などに関する研究調査活動を、いくつかの調査専門委員会を設置し継続的に実施しています。2017年4月より川又憲教授(東北学院大学)より引き継ぎ、筆者が委員長を務めることになりました。微力ながら努力する次第ですので、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
以下に、各調査専門委員会の2017年の活動状況を報告させていただきます。まず、放電のEMCに関する研究調査活動が、電気学会放電技術委員会との連携の元、精力的に調査が進められております。静電気放電(ESD)など、放電に伴う電磁的な雑音および障害問題の解決に向けた取り組みとして、2007年以来継続的に調査専門委員会が設置されており、2017年には、「過渡電磁界の電子機器及び通信に対する障害調査専門委員会(石上忍委員長・東北学院大学)」が活動を完了し、その後継委員会として、最近の電子デバイスに対する電磁障害対策を検討するため、「電子デバイスに対するESD過渡電磁界の影響評価調査専門委員会(石田武志委員長・ノイズ研究所)」が2017年8月に活動を開始しました。
近年のスマートグリッドの進展に伴い出現するEMC課題に対処するため、「スマートグリッド・コミュニティのEMC問題調査専門委員会(徳田正満委員長・東京大学)」において、スマートグリッドに関連した幅広いEMC問題について積極的な調査研究が行われ、2017年9月に3年間の活動を完了しました。現在、次期の委員会設立に向けた検討が進められています。
EVを含む自動車のEMC問題に関する技術調査活動については、「自動車(EV/PHEV)のEMC調査専門委員会(中村克己委員長・デンソー)」が2016年に設立され、EVのEMC課題、無線電力伝送(WPT)を用いた充電装置、さらには、自動運転システムのEMCなど、自動車に関連する新たな技術課題に対するEMC問題の調査検討が進められています。
生体に関わるEMCについては、電気学会会長直属の委員会として設置された「電磁界生体影響問題調査特別委員会」の2012年の解散を受け、健康リスク評価研究およびリスク管理政策に関する動向調査の役割を当技術委員会が引き継いでおり、2017年には、「電磁界の健康リスク分析調査専門委員会(第二期)(大久保千代次委員長・電磁界情報センター)」の活動が、2017年6月に開始されました。また、数値計算による体内誘導量の評価などを検討対象とした調査専門委員会が、2003年以降継続して設置されてきましたが、2017年6月に「電磁界ばく露に関する評価手法の動向調査専門委員会(和氣加奈子委員長・NICT)」が発足し、電磁界ばく露評価手法の最新の動向に関する調査が開始されました。
2018年は、本技術委員会発足20周年となり、記念行事などの計画もいたしております。引き続き、皆様のご支援とご協力、ご参画をお願い申し上げ、新年のごあいさつとさせていただきます。