EMC最新動向2018-業界の主要機関がEMCの最新動向を語る特別企画-

IEC/TC77(電磁両立性委員会)国内委員長
拓殖大学教授
澁谷 昇

新年、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

本稿では、2017年度にTC77で議論された項目、および、日本で開催されたTC77総会について簡単に紹介します。

[TC77の動向]

TC77国内委員会は、TC77の委員長及び幹事、また、幹事としてSC77A、SC77B、SC77Cの各委員長、さらに各工業会の代表等の委員で構成されています。

国内委員会では年間4回の会議が開催されています。昨年度は4月に第137回を、7月に第138回を、11月に第139回委員会を開催しました。本年1月に第140回を開催する予定です。

委員会は議事次第に沿って進行し、以下に示す事項を審議・決定しました。
(1)イミュニテイの共通規格IEC61000-6-1 Ed.3及びIEC61000-6-2 Ed.3が発行されたことに伴い、JIS化のための委員会を設立することが決定されました。
(2)IEC/TR 61000-2-5 Ed.3が発行されました。

[JISC61000-6-1&-6-2原案作成]

JIS C61000-6-1/6-2原案作成委員会が設置され、4月~11月までに6回の委員会が開かれ、11月に審議が終了しました。今後は、パブリックコメント等による修正を経て、発行される予定です。

[2017TC77国際会議]

2017年9月25(月)~9月29日(金)に千葉県柏市、柏の葉カンファレンスセンターにて、TC77、SC77A、SC77B、SC77Cの総会が開催されました。TC77総会は、例年CISPRの総会と同時開催されていたが、本年度は、諸事情により、TC77のみの開催となりました。

TC77では15か国より45名、及びオブザーバ16名が参加し、過去2年間の規格の審議・作成状況、及び他の委員会とのJTF(共同審議委員会)の案件が報告され、以下の表1に示すような、9項目の事項が承認されました。

以上、本稿では、昨年度のIEC/TC77国内委員会の動向を述べました。今後、委員会の活動はますます重要になってくると思われます。

〔表1〕 2017年TC77総会での決定事項
1 77/530/DC文書として回覧されたIEC61000-6-5の修正版ドラフトは、公式出版物として承認された。
2 副幹事のBernd Jaekelは、TC77 WG13のコンビーナに再選された。コンビーナの任期は次回の総会までである。
3 会議中に提示された、新しいスタビリティデイトの提案は承認された。
4 SC77A/PT61000-3-18に関して、修正を含む改訂版 SBP ドラフトが承認された。
5 以下のTC77のメンバは、Pメンバの条件を満たしていないPメンバとみなされる.オーストリア、ブルガリア、エジプト、ジョージア
6 ACECへのTC77代表の大崎博之先生の3年間の任期延長、およびACECへのSC77A代表のEmmanuel de Jaeger氏の3年間の任期延長が承認された。
7 SC77C議長HoadのACECへのSC77C代表の任期が終了した後、Radasky氏に交代するということが承認された。
8 Bernd Jaekelが、TC106へのリエゾンオフィサーとして承認された。
9 AFSEC(アフリカのEMCに関する会議)のリエゾン要求に関する調査を行うことが決定された。