EMC最新動向2018-業界の主要機関がEMCの最新動向を語る特別企画-
謹んで新春のお慶びを申し上げます。日頃のEMC関係者の皆様のご協力ご鞭撻に、心より感謝いたします。
昨年EMCJは設立40周年を迎えました。EMCJ委員長を曽根秀昭教授(東北大)から引継ぎ、新たに副委員長の王建青教授(名工大)ほか新幹事団スタッフを迎え、今年は新たな10年に向けスタートを切ります。またしばらく務めさせていただきましたURSI電磁波の雑音・障害小委員会(URSI-E)委員長は、芳原容英教授(電通大)に引き継いでいただきました。KEC-EMC専門委員会は引き続き委員長を務めさせていただきます。引き続きよろしくお願い申し上げます。
EMCJ研究専門委員会では、若手・中堅グループの活性化を目標に、種々の活動を行っています。月例研究会での「若手研究者発表会優秀賞・若手優秀賞」表彰、アジア地区海外開催の「EMCジョイントワークショップ(EMCJ-WS)」、EMC設計・電磁界解析・計測の基礎技術向上を目的とする「EMC基礎ワークショップ」の開催、「電気・電子機器のEMCワークショップ(通称:湯沢WS)」では一昨年はテーマ「グリーン社会を支える次世代EMCのロードマップを考える」のもとに若手・中堅層グループが「EMCロードマップ2035」を作成し、昨年11月のWSでは「Society5.0を実現するEMC技術ロードマップ」に引き継ぎ、20代30代が活躍する研究会を目指しています。本年3月のIEICE総合大会(@東京電機大)では一般公開企画セッション『環境電磁工学の基盤技術と未来へのメッセージ』を開催し、ベテラン・シニアから「若手への技術伝承」をテーマとした講演と、若手によるパネルディスカッション『私達が考える2035年のEMC技術ロードマップ』を計画しています。皆様のご参加をお待ちいたしております。
昨年度のEMCJ-WSは5月にシンガポールのNanyang Technological University(南洋理工大学)で開催し、本年EMCJ-WSは11月に韓国KAISTでの開催を予定しています。EMCJホームページ(http://www.ieice.org/cs/emcj/jpn/)をご参照ください。
なお、日本で5年ごとに開催するEMC国際シンポジウムは、2019年6月3日(月)-7日(金)札幌コンベンションセンターでの開催に向け、曽根委員長のもと準備が進んでいます。今回は、毎年アジア地区で開催されるAPEMC国際シンポジウムとのJoint開催(略称:EMC Sapporo & APEMC 2019)となり、多くの参加者が期待されます。企画セッション提案締切2018年10月、論文投稿締切2018年12月となる予定です。
さて、KEC関西電子工業振興センターEMC専門委員会の委員長として、KECのEMC委員会活動についてご紹介します。現在、EMC専門委員会の傘下に下記の8つのワーキンググループ(WG)とタスクフォース(TF)が活動しており、KEC会員各社から延べ115名の委員が参加しています。(1)EMCラウンドロビンテストWG,(2)EMC車載機器測定技術開発WG,(3)新規EMC規格対応WG,(4)電波暗室を使用したアンテナ校正の妥当性検証WG,(5)パワエレEMC試験法対応WG,(6)欧米規格調査・出版WG,(7)アジア規格調査・出版WG,(8)EMC用語集出版TF。WGごとに年に4~10回程度、技術検討会合や共同実験を行うとともに、年2回の全体会議での情報共有と、EMCJ研究会や国際会議などでの技術報告や、検討結果のCISPR等規格審議への貢献を行っています。2017年度は韓国ソウルで開催されたAPEMC2017でワークショップ「日本の産業界におけるEMC規格測定の精度向上への取り組み」を開催し、海外関係者との情報交換・技術共有を行いました。WGでは年度ごとにテーマ起案と委員募集を行い、新規EMC課題に弾力的に即応できる体制を整えています。
現在、エレクトロニクスと情報ネットワークの高度化により、社会インフラが大きく変わろうとしています。IoTやEV・自動運転やスマートネットワーク社会など、大規模かつ高度なシステムの信頼性を確保する基幹技術として、EMCの役割を再確認・再定義する時期に来ているように感じます。本年もよろしくお願い申し上げます。