EMC最新動向2018-業界の主要機関がEMCの最新動向を語る特別企画-

一般社団法人 ビジネス機械・情報システム産業協会 電磁環境専門委員会委員長
株式会社リコー
大塩 修二

平成30年の新春を迎え謹んでお慶び申し上げます。

一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)は、ビジネス機械およびそれに付随する情報システムの生産、貿易、流通及び消費の増進並びにその改善合理化を図ることにより、ビジネス機械・情報システム産業の統合的な発展を促し、我が国経済の発展と事務能率の向上に寄与することを目的として活動しており、複写機、ページプリンタ、データプロジェクタ、電子辞書およびシュレッダなどに代表されるビジネス機械ならびにそれに付随する情報システム産業分野を担う企業を中心に組織された協会です。

電磁環境専門委員会は、当協会内に設置された技術委員会の傘下においてEMCを扱う専門委員会で、当協会の掌握する製品に関わる国内外の法律、規格、基準等の諸課題を審議するとともに、これらの情報を会員各社に配信し、必要に応じて実験検証を踏まえた協会としての意見をまとめ、国内外関係機関に意見具申を行うとともに、EMCに関する協会内の基準化、標準化を推進する活動を行っています。

当専門委員会傘下には、以下の2つの作業班が設置されており、IECやCISPR規格案の検討、各種基本規格や製品規格に対する技術的検証活動を踏まえた積極的な標準化活動や、JIS規格審議への参画あるいは当協会規格であるJBMSなどの審議、改訂、発行などを推進しております。

(1)TC77関連作業班

TC77関連作業班では、SC77AおよびSC77B国内委員会に委員を派遣するとともに、主にIEC 61000-4シリーズの改訂、修正案に対する委員会ドラフト文書の審議などを積極的に実施しています。

昨年は、新規規格提案であるIEC 61000-4-39(近接電磁界イミュニティ)規格の基礎実験検証の結果から試験上の課題や相関性の問題などについて意見具申を行い、国際規格(IS)の発行に寄与しました。また、IEC 61000-4-3(連続放射イミュニティ)規格については、第4版の審議が始まった委員会ドラフト(CDおよび2ndCD)に対するコメント・提案等の意見具申を、エキスパートを通して国際会議へ行いました。

(2)CISPR関連作業班

CISPR関連作業班では、CISPR16規格を担当するCISPR/Aグループや、CISPR32および35のマルチメディアEMC規格を担当するCISPR/Iグループに委員を派遣するとともに、主にCISPR規格の改訂、修正案に対する委員会ドラフト文書の審議などを積極的に実施しています。

昨年は、CISPR16シリーズの放射妨害波試験方法について意見提案を行ってまいりました。また、CISPR32で推奨されている機器表示パターンによる放射エミッションの当協会所掌機器への影響について調査したとともに、この規格に利用される全無響電波暗室(FAR)サイト評価法について、当委員会の実験検証結果に基づき、試験再現性を考慮したIEC 61000-4-22適用の提案を継続して推進させていただいております。

当専門委員会では昨年に引き続き、関連機関ならびに関連委員会の皆様と協力し、積極的な標準化活動への参画と実験検討等を実施していく予定でございます。本年も皆様にとってより良き年になるよう心よりお祈り申し上げます。