EMC最新動向2018-業界の主要機関がEMCの最新動向を語る特別企画-

一般社団法人 電波産業会・電磁環境委員会 委員長
北海道大学名誉教授
野島 俊雄

あけましておめでとうございます。

一般社団法人電波産業会(ARIB)・電磁環境委員会を代表し、謹んで新年のお慶びを申し上げます。当委員会は、電波利用の円滑な促進普及に寄与することを目的として、平成9年9月に設置され、電波産業会の会員企業・団体が関わる電波利用分野における人体等への電波照射の安全性について各種の調査研究並びに正確な関連情報の普及・啓発活動を推進しています。

現在17の企業(通信事業者6、放送事業者1、メーカ10)及び学識経験者などの特別委員4名で構成されています。委員会の事業計画は年度当初の電磁環境委員会(総会)にて決定し、これに基づいて調査研究部会及び広報部会が、次のような事業を推進しています。

調査研究部会

調査研究部会では、業界として自主的な科学的調査研究と、影響ありとした報告の信憑性を評価するため、専門研究機関への委託研究と自主研究を継続的に実施しております。これまで実施した各種研究テーマとその成果の概要は、下記URLにて公表しております。
http://www.arib-emf.org/03report/report-top.html

これまで実施した様々な研究において、電波が人体に健康上の悪影響を及ぼすという結果は何も確認されていません。公表した成果は、防護指針を満たす電波利用の安全性を裏付ける科学的証拠をより強固にするデータベースとして日本のみならず世界で貢献しています。

平成29年度は、
「カルシウム動態に対する高周波数帯電磁界の影響評価」をテーマにした研究を継続するとともに、新たに
「LTEがヒトの聴覚刺激を用いた事象関連電位に与える影響の研究」並びに
「国内における電磁波リスク認知調査」に着手しました。

平成30年度は、これらのテーマについて実験研究を続けるとともに、必要に応じて新たな研究テーマも検討する予定です。

広報部会

広報部会では、電波の正しい知識の啓蒙活動を行っています。主に、

  • 書籍/パンフレット/ビデオの制作及び頒布
  • ホームページによる調査研究部会での研究成果や電磁環境委員会の見解等の公開
  • 総務省主催「電波の安全性に関する説明会」等で書籍/パンフレット/ビデオの配布
を行っています。

これまでに、書籍を3種類、パンフレットを1種類、ビデオを1種類作成し、小中学校の図書室や各地の図書館への寄贈や配布を行っています。これらの書籍等は下記URLのホームページから入手/参照出来るようにしています。ビデオは聴覚障害者向けを作成し、字幕付きのものを下記で見ることができるようにしています。
書籍等:http://www.arib-emf.org/05about/hanpu.html
ビデオ:http://www.arib-emf.org/

平成29年度は、書籍の中で「身近な電波の科学」の改訂を行いました。本年も引き続き、最新情報を追加するための書籍/ビデオ/ホームページ等の改訂と、全国各地で開催される総務省主催の「電波の安全性に関する説明会」の場を借りて、書籍やビデオの最新版の配布活動を行います。その他、小中高生向けの電波に関する教室等のテキストとして書籍やビデオを無償提供しています(ご希望があれば電磁環境委員会までお問い合せください)。

上記のような活動を通しまして、電波の人体に与 える影響等、電磁環境問題の調査・研究及び広報の ための諸活動を自主的に行ってまいります。

平成30年におきましても、本委員会の活動に一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。