1.放熱ファン(冷却ファン)の概要

コンピューター、サーバー、OA機器、家庭用ゲーム機器から配電盤・制御機器・大型電源装置・熱交換器・UPS(無停電電源装置)などあらゆる装置は高機能化・高密度化・小型化が進み内部の温度上昇が高くなってきています。

この熱をそのまま放置すると装置が故障したり、寿命が短くなったりしてしまいます。これまで自然空冷していた装置でも強制冷却が必須になってきております。放熱ファンは、これらの装置に取り付けることで外部の冷たい空気を導入し、装置内部で発生した熱を外部に排出して温度を下げる為に利用されます。

ファンと聞くと、いたるところで使われている扇風機や換気扇を思い浮かべる人が多いと思います。これらもファンの一種で、体感温度を下げることや換気を目的としたファンです。一方、目に付かないところで世の中の役に立っているファンもあります。それが上記に書かれているように私たちの身の回りにある機器や装置の中に取り付けられている、物を冷やしたり、風を送ったりするためのファンです。

多くの場合、ファンは目立たないところに取り付けられており、人知れず機器内部を冷やし続けています。見えないところで私たちの生活を支える縁の下の力持ちなのです。

2.ファンの冷却性

装置にファンモーターを取り付けて外部の空気を内部に取り込む場合、ファンモーターを取り付けても想定していた冷却効果がでない場合があります。

ファンの冷却性に関わる要素は1つではない為、様々なケースで最適な選択をしないといけません。冷却性に関わる要素として特に大切なのが、「風量」と「空間の確保」になります。風量は選定するファンの性能そのものなので、価格や形状と照らし合わせて判断します。空間の確保については、トライアンドエラーで、最適解を導くしかありません。

ファンは基本的に口径が大きく、回転数が高いものほど冷却性能が高くなります。しかし、同じ口径や回転数でも羽根の形状や軸受けの構造といったメーカー独自の工夫によって性能に差が出る場合があります。この点については各メーカーのサイトで性能を調べたり、実際に購入して比較してみるしかありません。

一般的にいえば、やはり回転数の高い製品ほど放熱効果は高いものの、1、500rpmより上になると動作音が耳につくようになります。放熱性と騒音性はトレードオフの関係ということです。快適さを考えると高負荷時に1、500rpm前後の回転数が確保でき、かつアイドル時の回転数が低いモデルがオススメといえそうです。

「空間の確保」でいえば、例えば風は目に見えませんのでティッシュの切れ端など軽いもので吹き流しを作り、吸込側の風の流れを確認することも有効です。ファンの吸込側が解放状態なのに風が吸い込まれないのは、吐出側に風の流れを妨げる壁や部品があることが多く、高密度な装置に起こりやすい症状です。また、吸込んだ空気を外部に出す装置自体の吐出口も重要です。

3.ファンの種類

「軸流ファン」「遠心ファン」「ブロアファン」の3種類があります。
最も多く使われているのが「軸流ファン」です。軸流ファンとは、フレームの中央部に羽根が取り付けられていて、羽根正面から風を吸い込み、後方へ吐き出すファンです。おそらくみなさんがファンと聞いて想像するのはこのファンではないでしょうか。軸流ファンは高風量、低騒音化しやすいという特長があり、私たちの身の回りで多く使われています。

軸流ファンと違って、風の流れる方向が後方ではなく、吸込みから吐出しへ90°変わるのは「遠心ファン」と「ブロアファン」です、装置のスペース上、風をまっすぐ後方へ出せない場合には最適なファンです。ブロアは風をピンポイントに吹き付ける局所冷却用途や、高静圧の性能のため、部品が高密度で実装されている装置の内部冷却用途に向いているという特長があります。同じように遠心ファンは、密集している装置の内部の空気を引っぱり出すのに適しています。

軸流ファン 遠心ファン ブロアファン
左から:軸流ファン 遠心ファン ブロアファン

(著)株式会社 佐藤製作所