1.EMI対策コネクタが必要な背景
<イントラシステムEMC問題>

近年は大容量記録ディバイスの使用や高速インターネット環境が整い、PCやタブレット、スマートフォンなどの身近な小型コンシューマ製品端末で高画質な画像や映像などを手軽に楽しめるようになりました。それに伴い、機器内で処理が必要な情報量が飛躍的に増加し、機器内の信号速度(伝送規格)もどんどん高速化しています。

しかしこの様な電子機器では、機器内に高密度で実装されたさまざまな電子部品や信号伝送回路から発生する電磁波がノイズとして通信回路に加わり、無線通信性能を低下させる原因になる場合もあります。電子機器内部の回路や電子部品から発生する電磁ノイズが同じ機器内の他の部分に障害を発生させる問題は「イントラシステムEMC問題」と呼ばれ、特に高性能な電子部品が高密度で実装される小型電子製品の開発者にとっては大きな悩みの種となっています。

電磁ノイズの伝導経路にはノイズ発生源から基板上の回路などを介して伝わる「導体伝導」と、空間に放射されて伝導する「空間伝導」の2種類があります。一般的には導体伝導ノイズは回路に電磁ノイズフィルター部品を組み込むなどで対策ができますが、電子機器内部の空間伝導ノイズを防ぐには適切に接続したグラウンドなどで電磁ノイズの発生源や保護する必要のある電子部品や回路などを物理的に覆うことで電磁ノイズを遮断させる必要があります。

2.EMI対策コネクタの概要

高性能な小型電子機器はカメラやアンテナ、各種センサなど機能単位でモジュール化され、製品組立工程にてそれぞれのモジュール基板の回路をコネクタなどで接続させて製造されるのが一般的です。
しかし、基板間の回路を物理的に接続させたり、モジュール基板の検査や製品の修理などの際に接続したモジュールを取り外したりすることが想定される基板上のコネクタ部品は、回路接続後にメタルシールドなどで全体を覆い被せることが難しい箇所でもあります。
そのため、このような箇所に電磁ノイズ対策が必要な場合、コネクタ自体で空間伝導の電磁ノイズ対策可能で、必要時に容易にコネクタを挿抜させる事ができる「EMI対策コネクタ」が必要になります。

優れたEMI対策コネクタには、コネクタ自体のシールドでPlugとReceptacle全ての信号端子をコンタクト接点のみならず、信号端子の基板実装部分(コンタクトテール部分)からの放射ノイズも360度防ぐEMIシールド性を持たせながら、コネクタ本来の目的であるPlugの挿抜機能を犠牲にしない構造が求められます。

また、空間に放出された電磁ノイズをメタルシールドが受けるとシールドに電流が発生し、シールド自体がアンテナ化して電磁ノイズを2次放射してしまう可能性があります。
そのため優れたEMI対策コネクタには、PlugとReceptacle両方のシールド同士がコネクタ嵌合時には多点で適切にグラウンド接続されていること、かつ基板にも多点で適切にグラウンディングさせることでシールドに発生した電流の逃げ道を十分に確保する構造を持つことも求められます。
これによりコネクタ自体で空間伝導の電磁ノイズ対策が可能になることから、特にイントラシステムEMC問題の対策が求められている無線通信機能を搭載した高機能小型電子機器でも、アンテナの近くにコネクタを配置するなど自由な基板設計が可能になります。

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3.EMI対策コネクタに求められる主な特長

  1. ① 嵌合時にコネクタ全体がシールドで覆われる構造であってもPlugを容易に挿抜できる
  2. ② 接続させる信号端子(PlugとReceptacleのコンタクト)の全体がコネクタシールドで覆われている
  3. ③ PlugとReceptacleのシールド同士が多点で適切にグラウンド接続されている
  4. ④ 信号端子の基板実装部(基板に実装されたコンタクトテール部)までコネクタシールドで覆われている
  5. ⑤ コネクタシールドが基板にも多点で適切にグラウンディングされている

(著)I-PEX株式会社