ここではフィルムコンデンサの使い方や、役割、原理、構造などを掲載します。

1.フィルムコンデンサとは

フィルムコンデンサとは、コンデンサの中でも誘電体にプラスチックフィルムを用いたものを示します。電極や使用する誘電体や電極などによって様々な種類が存在します。そもそも電子部品は「能動部品」「受動部品」「補助(接続)部品」に分類する事ができる。この中でコンデンサは「受動部品」に該当し、使用する材料や構造によって「フィルムコンデンサ」「セラミックコンデンサ」「アルミ電解コンデンサ」「タンタル電解コンデンサ」等の種類が存在する(図.1)。

図.1
図.1 電子部品の分類


2.フィルムコンデンサの特徴

フィルムコンデンサの大きな特長として、直流では高い絶縁状態を保つ一方、交流では電流を通し、その交流での抵抗を表すインピーダンスが周波数によって変化する特性を有する(図.2)。
ノイズとは、電圧・信号等の機器の通常動作を妨げる成分全てを指し、一般的な商用電源では50/60Hzの電圧成分に対し数kHz~数十MHzの高い周波数のノイズ成分が重畳され、外部機器へのエミッション(EMI)対策や外部機器からの イミュニティ(EMS)対策が行われる。
電線ライン等を介して伝搬する伝導ノイズ対策ではコンデンサを線間・対地間に接続し、コンデンサのインピーダンス周波数特性を利用し高い周波数のノイズ成分のみを除去させる。その際、コンデンサの中でも温度特性や高周波特性が優れる「フィルムコンデンサ」がノイズ対策では幅広く使用されている。

図.2
図.2 フィルムコンデンサの静電容量別インピーダンス周波数特性(代表例)

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3.フィルムコンデンサの使用方法や要求事項、回路例と選定基準

伝導ノイズ対策の際、フィルムコンデンサ単体では無くインダクタと同時に使用される事が一般的であり、対策を求められるノイズの周波数帯域によって「ローパスフィルタ回路」「ハイパスフィルタ回路」などを使い分けながら対策を行う。図3は「ローパスフィルタ回路」の一例を示す。

図.3
図.3 ローパスフィルタ回路

図2に示す様に、コンデンサは静電容量によってインピーダンス特性が異なる為、ノイズのレベル(周波数成分)によって使用するコンデンサ定数の選定を行う。
また、伝導ノイズ対策用のフィルムコンデンサはアクロスコンデンサとも呼ばれ、電源の一次側に使用される事から安全性に対して特に強く要求され、使用方法を誤ると最悪の場合は発煙・発火等の事故に繋がる可能性がある。その為、アクロスコンデンサへの評価基準としてIECやULにて安全規格が制定されており、その規格に認定された製品が広く使用されている。
また、伝導ノイズ対策用のアクロスコンデンサとは異なり、ノイズ発生源でもあるインバータのスイッチング サージ対策にもフィルムコンデンサが用いられ、こちらはスナバコンデンサと呼ばれている。
一般的に、アクロスコンデンサは耐電圧や電圧変動等に対する安全性を、スナバコンデンサは高リップル特性を求められ、同じフィルムコンデンサであっても求められる性能は異なってくる。その為、使用部位にあった適切なフィルムコンデンサを選定する事が重要である。



4.製品写真

写真.1写真.1 アクロスコンデンサ
写真.2写真.2 スナバコンデンサ

(著)岡谷電機産業株式会社

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5.コンデンサ(キャパシタ)の概要

コンデンサのインピーダンスは、コンデンサに交流電圧を加えたとき、そのコンデンサに流れる電流の大きさを決定する定数であり、加えた電圧の周波数によってその値は変わります。
周波数を高くしていくとインピーダンスは低下し続け、電流が流れやすくなり容量性リアクタンスの値が段々と小さくなるためであります。さらに周波数を高くしていくと、V字の底に達し、コンデンサの共振周波数となります。この点では容量性リアクタンスと誘導性リアクタンスが等しくなり、相殺され、コンデンサが抵抗となる瞬間です。この抵抗を一般にESRと呼んでいます。

図1.コンデンサの外観
図1.コンデンサの外観

さらに周波数を高くしていくと誘電性リアクタンスの値が容量性リアクタンスの値より大きくなり、コンデンサの形はしていますが、コイルと同一の働きをする周波数領域となります。

6.コンデンサ(キャパシタ)の選定

インピーダンス-周波数特性は実測値と計算値が一致するのが好ましい理想的なコンデンサです。コンデンサ(キャパシタ)はチョークコイルと同様、コモンモード用(ラインバイパス用)、ディファレンシャルモード(アクロスザライン用)とに大別できる。
これらのコンデンサ(キャパシタ)は一般に次のような特性が要求される。

  • ① 自己共振周波数が高い
  • ② 静電容量の電圧係数が低い
  • ③ 電圧破壊レベルが高い

コンデンサ(キャパシタ)には低周波の電流は流しがたく、高周波成分は流しやすいという性質がある。高周波ノイズが重畳しているライン間、あるいはラインとグラウンドとの間にこのコンデンサを接続すると、低周波の信号にはあまり影響を与えず、重畳している高周波ノイズ成分はグランドラインや帰路のラインにバイパスさせる、高周波ノイズを除去するローパス型 EMIフィルタの特性がある。
またコンデンサ(キャパシタ)は、もともと二つの導体によって囲まれた絶縁体(誘電体)に電荷および電界を閉じ込めて、できるだけ外に逃がさないよう工夫した装置であり、電荷を一時的に蓄積するための装置である。通常、高周波ノイズを除去するローパス型EMIフィルタとしてのコンデンサ(キャパシタ)の評価は挿入損失で行い、電池のような電圧の変動を抑えるノイズ対策のコンデンサ(キャパシタ)の評価はインピーダンスで行われる。



7.コンデンサ(キャパシタ)の種類

ノイズ対策にはセラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、タンタルコンデンサ、樹脂フィルムコンデンサなどが使われる。コンデンサには、静電容量、耐電圧(定格電圧)、誘電体損失、漏れ電流(絶縁抵抗)、温度特性、信頼性、寿命特性、半田耐熱などの実装性などで選択されるが、ノイズ対策用コンデンサでは静電容量とESR(残留抵抗)、ESL(残留インダクタンス)が重視される。理由は、自己共振点より低減の周波数帯では挿入損失の大きさやインピーダンスが静電容量で決まり、自己共振点より高域の周波数帯では挿入損失の大きさやインピーダンスがESLで決まり、自己共振点付近の周波数帯では挿入損失の大きさやインピーダンスがESRで決まるからである。

図2.コンデンサ外観(2)
図2.コンデンサ外観(2)

8.半導体コンデンサ

半導体コンデンサは、半導体磁器領域と誘電体絶縁層をもったコンデンサで、単位面積あたりの静電容量が極めて大きいことが特徴である。
電子回路では小型大容量のものがノイズ吸収、バイパス、カップリング用として大量に使用されている。主にラジオ、ステレオをはじめとする音響機器に使用され、電子回路の電圧も低くなり映像機器にも使用されている。
半導体コンデンサは、半導体技術、再酸化技術、拡散技術、などを駆使して素子の表面、または内部に絶縁層と半導体層を形成し、従来の物に比べ、数十~数百倍の誘電率を有し、従来と同等の性能を保持した小型化大容量のコンデンサである。

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