1.照明機器のEMC試験

EMC(電磁両立性)の国際規格としてはエミッションCISPR15で,イミュニティがIEC 61547が規定されている。機器の分類によって、試験項目が選定され、測定配置や試験条件も個別に規定されている。

CISPR 15, IEC 61547を構成する主な試験項目
EMI試験(エミッション測定)CISPR 15 イミュニティ試験IEC 61547
伝導妨害波測定(電源) CISPR 16-2-1
  • ケーブル長等仕様によって、負荷線・制御線を測定することがある。
  • 測定開始周波数は150kHzではなく、9kHzから規定している。
静電気放電試験 IEC 61000-4-2
放射無線周波電磁界試験 IEC 61000-4-3
電気的ファストトランジェント/バースト試験
IEC 61000-4-4
サージ試験 IEC 61000-4-5
放射妨害波測定CISPR 16-2-3
  • ラージループを用いて30MHz以下の周波数範囲の試験も要求もある。
    規格の版によって、電源線にCDNEを用いてインピーダンスを一定にする必要がある。
    同様に、規格の版によっては、放射妨害波測定ではなく、雑音電力で規定されているものやCDNEによる電源線伝導妨害波測定が規定されている。
伝導妨害波注入試験 IEC 61000-4-6
電圧ディップ・瞬断試験 IEC 61000-4-11

2.照明機器の分類について

CISPR15では放電管、蛍光灯、LED光源、コンバータなど、製品ごとに適用測定項目を定め、試験条件も個別要件として規定されている。エージング時間や天井吊り下げタイプや天井に取り付ける機器など、屋内用・屋外用照明の配置が各製品によって異なり、製品によっては試験条件が細かく規定されている。また、安定器内蔵形蛍光ランプ用の円錐形金属ハウジング、調光器など、照明機器特有の試験冶具を用いる場合があり、試験品に応じた試験冶具を用意する必要がある。

3.ラージループ試験について

照明機器やIH機器(CISPR14-1の分類)などでは、30 MHz以下の周波数帯域において、ラージループを用いた評価がある。この試験では、試験品を固定し、3軸(X,Y,Z)の磁界成分を測定する。測定環境として、CISPR16-1-4の要求された場所で評価し、、決まった場所で測定を行う必要がある。

ラージループ測定配置例

規格で規定されているラージループアンテナは、直径2m, 3m, 4mで規定されており、それぞれ、許容値が異なる。これらの案ては、サイズによって、測定可能なEUTのボリュームサイズが規定されている。

直径2 mのループアンテナ :長さが1.6 mを超えない機器
直径3 mのループアンテナ :長さが1.6 mから2.6 mの機器
直径4 mのループアンテナ :長さが2.6 mから3.6 mの機器

直径が大きくなればなるほど不確かさが大きくなる。実際の測定システムでは、アンテナとEUTの測定台から構成されており、重量物の場合は耐荷重が耐えられるか、試験品用の電源の取得する配線への配慮が必要である。

4.負荷端子、制御端子の測定について

EUTのACインプットに対して試験を行うことは他の規格同様であるが、負荷端子と制御端子についても測定が必要である。負荷端子とは、電源部以外の制御線で、一般的に発光部分が分離している照明器具において、電源部と発光部を接続する配線を示す。CISPR15 Ed9.0では、電圧プローブを用いて測定し、制御端子はAANを用いて測定する。

5.雑音電力試験について

30 MHz以上の妨害波測定において、規格の版によっては放射妨害の測定ではなく、雑音電力で規定されている。雑音電力試験については、家電機器の測定の項で述べているので参照されたい。

6.イミュニティ試験の判定基準について

イミュニティ試験ではEUTが正常に動作しているかどうか, 判断基準を事前に示したうえで試験を行う必要がある。IEC 61547では、一般的に、照度が何%の許容範囲でといったような、性能判定基準が細かく規定されているわけではないもののが、試験中は照度計などで照明のちらつきを数値的に確認しておきモニタすることが望ましい。この場合、照度計は応答速度が遅いので、応答速度に応じた時間で試験を行う必要がある。

(著)日本品質保証機構