1.家電機器のEMC試験とノイズ規格

家電機器のEMC(電磁両立性)の国際規格としてはCISPR14-1,CISPR14-2が制定されている。試験品の内部クロックによって試験項目や周波数範囲が規定されるのが特色であり、掃除機や洗濯機などは試験条件の詳細が個別に定まっている。また、安全規格であるIEC 60335-1において、EMC試験も規定されている。

CISPR 14-1, CISPR 14-2を構成する主な試験項目
EMI試験(エミッション測定)CISPR 14-1 イミュニティ試験CISPR 14-2
伝導妨害波測定(電源) CISPR 16-2-1
  • 連続性だけではなく、不連続性の評価があり、主な製品は測定条件が規定されている。ケーブル長等仕様によって、負荷線・制御線を測定することがある。
静電気放電試験 IEC 61000-4-2
放射無線周波電磁界試験 IEC 61000-4-3
(*)雑音電力測定
製造業者によって雑音電力か放射妨害波測定が選定されるが、内部クロック周波数や雑音電力の許容値とマージンによっては、放射妨害波での測定が要求される。
電気的ファストトランジェント/バースト試験
IEC 61000-4-4
サージ試験 IEC 61000-4-5
放射妨害波測定CISPR 16-2-3
  • IH機器はラージループを用いて30MHz以下の周波数範囲の試験も要求される。
伝導妨害波注入試験 IEC 61000-4-6
電圧ディップ・瞬断試験 IEC 61000-4-11

IH機器は試験条件だけではなく、許容値も個別に規定されている。日本国内では、IH機器は電波法も考慮する必要がある。

(* )雑音電力の測定について
放射妨害波法の代替法として、測定法が確立。妨害波の波長によって、最大放射位置が異なるため、測定用クランプを移動して、最大放射となる位置に固定してから記録する。場の評価としてはCISPR16-1-3で規定されている。

雑音電力配置例

2.雑音電力測定と放射妨害波測定

CISPR14-1では、30 MHz以上の測定において、製造業者が雑音電力測定か放射妨害波測定を選定する。雑音電力試験を適用する場合は、内部クロック周波数や雑音電力の測定結果次第では放射妨害波測定を行う必要が出てくる。ただし、雑音電力を測定は, 電波暗室を用いずに、暗室よりも狭い部屋の規定されたシールド室で測定が行えること、測定する線が少ない場合は、放射妨害波測定よりも短時間で実施できるメリットがある。

3.不連続性妨害波の測定について

CISPR14-1の特長の一つに不連続妨害波の測定がある。サーモスタットにより制御される機器、自動プログラムで制御される機器及び、電気的に制御或いは操作されるその他の機器では、スイッチ動作により、不連続妨害波を発生し、これらを規定している。
連続的に観測できないため、連続許容値からその頻度(クリック率)によって、許容値が定まり、周波数はすべての周波数を観測するわけではなく、0.15 MHz, 0.5 MHz, 1.4 MHz, 30 MHzの4周波において測定を行う。クリック率は製品によって係数が規定されている機器もある。観測時間としては、クリックが 40 個になるまでの時間,又は,スイッチング動作が40 回になるまでの時間で観測する必要があるが、これらを達しなかった場合は120分の観測を4周波数それぞれで試験を行う。最近の測定器では4周波数一度に測定できるものもある。また、0.5265 MHzから規定されている電気用品安全法の一部省令としては0.55 MHz, 1.4 MHz、30 MHzで規定されている。

4.CISPR 14-2 カテゴリ分けについて

機器によって、4種類に分類される。CISPR 32とは異なり、動作運用周波数ではなく、内部クロック周波数が基準となる。カテゴリによって測定項目が選定される。

カテゴリ I:モータ機器など電気制御回路がないもの
すべてのイミュニティ試験をする必要なし
カテゴリ II:15 MHzより上の内部クロック周波数の電気制御回路を持たないもの
放射イミュニティ試験せずに、伝導イミュニティ試験を230 MHzまで行う。
カテゴリ III:バッテリー機器で、15 MHzより上の内部クロック周波数の電気制御回路を持たないもの
放射イミュニティ試験せずに、(対象ケーブルがあれば)伝導イミュニティ試験を230 MHzまで行う。
カテゴリ IV:上記3カテゴリに当てはまらないもの
すべての試験項目を実施する。

(著)日本品質保証機構