【IEC 62153-4-8】静電結合アドミッタンスの試験方法(月刊EMC)

2018.7.11 更新
【IEC 62153-4-8】静電結合アドミッタンスの試験方法(月刊EMC)

【キャパシタンス・ブリッジ法による透過キャパシタンス測定回路】

 通信用同軸ケーブル、LAN 用ケーブルに代表される平衡通信ケーブル等のメタリック通信ケーブルの EMC 特性 ( 遮蔽特性 ) 試験方法の IEC 国際規格として IEC 62153-4 シリーズが制定発行されている。IEC62153-4 シリーズはテクニカルレポートも含め、62153-4-0 ~ -4-14 で構成される。

 伝達インピーダンス (transfer impedance)、遮蔽減衰量 (screening attenuation)、 結合減衰量(coupling attenuation) がEMC 特性の評価パラメータであり、インジェクションクランプ法、三重同軸法、吸収クランプ法、ラインインジェクション法により行われる。本稿では、伝達インピーダンスの静電成分である静電結合アドミッタンスの試験方法を規定している IEC62153-4-8 の概要について解説する。


概要

 伝達インピーダンスには電磁成分及び静電成分がある。電磁成分については IEC 62153-4-3 ed1.0 で述べられているが、IEC 62153-4-8 ed1.0 では静電成分である静電結合アドミッタンスの試験方法を規定している。試験方法は、キャパシタンス・ブリッジ又はパルス法を用いた透過キャパシタンス測定によるものである。

 テストセットは三重同軸構造からなり、被試験体の内部導体は金属円板を遮蔽と接続するか、若しくは、抵抗を使用せずに遮蔽をターミネーションすることにより、片端を遮蔽する。被試験体を試験治具内に据え付け、試験治具の外部導体は、金属管若しくは被試験体のシース上に施した編組により構成される。

 キャパシタンス・ブリッジ法では被試験体の内部導体と金属管 ( 又は外部編組 ) 間の透過キャパシタンスを測定する。パルス法では、パルス発信器からの信号を外部回路とオシロスコープのチャネル 1に接続し、被試験体の内部導体はオシロスコープのチャネル2に接続して行う。

試験機器

 装置テストセットは三重同軸構造からなる。被試験体の内部導体は金属円板を遮蔽と接続するか、若しくは、抵抗を使用せずに遮蔽をターミネーションすることにより、片端を遮蔽する。被試験体を試験治具内に据え付け、試験治具の外部導体は、金属管若しくは被試験体のシース上に施した編組により構成される。編組チューブはメタルディスクの反対側でオープンエンド ( 開放端 ) とする。

(1) キャパシタンス・ブリッジ法
図に示すように、被試験体のシールドはキャパシタンスブリッジの中間部に接続する。


続きは『月刊EMC No.343』にて

【月刊EMC No.343 目次情報】

<特集>
◇医療ICT化の進む方向と各種電波に対するリスク管理
・医用テレメータの無線チャネル管理~混信事例とその対策~
 (東海大学 村木能也)
・医療ICT 化における問題点~無線LAN 障害事例とその対策~
 (佐賀大学 花田英輔)

<Technology>
・フルSiC ハイブリッド車時代に要求されるEMC 技術
 (島根大学 山本真義)
・プリント配線板電源層からの放射雑音低減法(プリント基板からのエミッション対策)
 (佐賀大学 佐々木伸一)
・小型ワイヤレス・電子装置設置環境診断システム
 (東芝三菱電機産業システム(株) 前畑典之)

<規格・規制情報>
・マルチメディア機器のエミッション規格の解説と今後の動向
(情報通信審議会情報通信技術分科会 電波利用環境委員会 I 作業班主任 雨宮不二雄)
・静電結合アドミッタンスの試験方法 62153-4-8 Ed.1.0
 ((株)フジクラ・ダイヤケーブル 小川幸三)

<実践講座>
・規制の法的枠組みと動向 ①
 EMC 関連国際標準化組織とその歴史
 (東京大学 徳田正満)
・電源ノイズ解析と設計法 ②
 電源ノイズ解析と設計法
 (大阪大学 舟木剛)
・建築設備の安全設計とEMC ④
 ビル・工場における接地システム設計の知識
 (関東学院大学 高橋健彦)

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