【IEC 61000-6-1/6-2】イミュニティ共通規格改訂のポイント(月刊EMC)

2018.8.28 更新
【IEC 61000-6-1/6-2】イミュニティ共通規格改訂のポイント(月刊EMC)

【機器のポート】

  前の版である IEC 61000-6-1及 び6-2第2 版は、2005 年 1 月に発行された。 第 2 版にあわせて、本規格の JIS 規格版である JIS C61000-6-1:2008 及びJIC C 61000-6-2:2008 についても 2008 年に発行された。この 2 つの規格は、双方ともイミュニティ共通規格であり、製品規格又は製品群規格が存在しない電気・電子機器に対してイミュニティ試験を行う際に適用するための規格である。

 2 つの規格は、環境の違いによって分類され、6-1 が住宅、商業、及び軽工業環境で使用される機器に、6-2 が工業環境で使用される機器にそれぞれ対応している。通常、製品/製品群規格は、IEC 61000-4 シリーズや CISPR 16 シリーズなどの基本規格(Basic Standard)を引用していることが多く、本共通規格についても製品/製品群規格と同様の引用を行っているが、一部の製品/製品群規格(例として)については、IEC 61000-4 シリーズではなく本規格が引用されているものもある。

 本規格が第 2 版として発行された 2005 年より既に 8 年が経過し、引用している基本規格の内容の多くが改訂されている状況において、2013 年に IECTC77/WG13 において第 3 版に向けた改訂作業が開始され、2013 年 8 月に 77/441/RR(6-1)及び 77/442/RR(6-2)において規格化の開始が正式に告知された。

 IEC TC77/WG13 における改定案作成作業の結果、最初の委員会原案(CD: Committee Draft)である77/456/CD 及び 77/457/CD が 2014 年 1 月に発行された。本 CD に対する各国の意見を集約したコメント集 77/463/CC 及び 77/464/CC が 2014 年 8 月に発行され、14 か国より 61 のコメント、及び 12 ヶ国より54 のコメントがそれぞれあった。多数のコメントがあったため、これらコメントを反映した原案は投票用委員会原案(CDV: Committee Draft for Vote)とせず、2nd CD として 77/465/CD 及び 77/466/CD が 2014年 8 月に発行された。

 2nd CD に対する各国の意見を集約したコメント集 77/476/CC 及び 77/477/CC が 2015年 2 月に発行され、13 か国より 57 のコメント及び 15か国より 63 のコメントがそれぞれあった。これらコメントを反映した原案は CDV として 77/487/CDV 及び77/488/CDV が 2015 年 8 月に発行された。投票の結果は 77/511/RVC 及び 77/512/RVC として 2016 年 1 月に発行され、511/RVC (6-1)は 2 ヶ国の反対があり93.5%(P メンバ 33 中 31) の賛成投票で可決した。

 また 512/RVC (6-2)は 1 ヶ国の反対があり 96.8%(Pメンバ 33 中 32)の賛成投票で可決した。両 CDV に対し、我が国からも 1 点のみ用語の定義に関するコメントを 511/CDV に対して行い、両 CDV とも賛成票を投じた。

 この結果を受けて、最終国際規格案(FDIS: Final Draft for International Standard) 77/520/FDIS及び 77/521/FDIS が 2016 年 6 月に発行され、双方のFDIS とも 3 ヶ国の反対があったが 90.3%(P メンバ 31中 28) の 賛成で可決した(77/522B/RVD, 77/523B/RVD: 2016 年 7 月)。同結果より、2016 年 8 月 20 日に両規格とも国際規格第 3 版として発行された。

続きは『月刊EMC No.351』にて


【月刊EMC No.351 目次情報】

<特集>
◇雷害対策の温故知新
・ビルの内部雷保護システム
 ((株)NTT ファシリティーズ 佐藤秀隆)
・雷保護用接地について
 ((株)関電工 日向野明)
・我が国に避雷針が伝来する時期と根拠の調査研究 我が国における雷保護対策の黎明期
 ((株)九電工 林和博)
・建築物の外部雷保護システム
 ((株)村田電機製作所 嶋田章)
◇振動/騒音対策設計法と技術・材料
・騒音の基礎、流体騒音、ファン騒音
 (エアロメックリサーチ 藤田肇)
・防音・防振材料とその上手な適用法
 (ブリヂストンケービージー(株) 飯田一嘉)
・モータ振動・騒音の予測技術
 (元芝浦工業大学 石橋文徳)

<New&Now 規格・規制情報>
・IEC61000-6-1/6-2 第3版
 イミュニティ共通規格改訂のポイント
 (東北学院大学 石上忍)

<実践講座>
・EMC測定・試験のポイント-2.EMC測定・試験は何故必要か
 規制の法的枠組みと動向 ⑤
 電気自動車用ワイヤレス電力伝送のエミッションに関する国際規制化の動向
 ((株)東芝 庄木裕樹)
・対策事例に学ぶパワーエレクトロニクスのノイズ対策 ④
 ノイズ障害対策編(その1)
 (双信電機(株) 碓氷哲之)

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