1. 電磁波シールドとは

電磁波は磁界、放送通信用の電波や赤外線や光、X線まで含み、そのうち電波は電波法で300Hz~3THzと決められている。しかし、実際に使用されるのは9kHzから衛星通信用の200GHz程度までである。

電磁波の波長は光の速度(3×108m/s)を周波数で割ることにより求められ、300Hzでは1,000km、3THzでは0.1mmになり、交流電源で使用される50Hzの場合は6,000kmとなる。磁界または電界が単独で存在する領域は近傍界と言われ、波長λを用いると、λ/2π以下の領域で示される。

したがって、交流電源の場合、磁界及び電界が単独で存在する領域は、およそ1,000km程度にまで及ぶことになる。遠方界では磁界と電界が互いに直交して進行する状態になっているため、磁界または電界のどちらかを減衰させれば、トータルでの電磁波シールドすることができるが、近傍界では磁界と電界がそれぞれ個別で複雑に存在しているため、磁界及び電界はそれぞれ個別にシールド対策を施す必要が出てくる。

その中でも、3MHz以上の周波数の電磁波は、通常、薄い層の導電性材料を用いてシールドすることができる。

薄い層の導電性材料の中には、導電性を有した電磁波シールド塗料がある。
そのシールド塗料の構成要素は、大きく4つに分類される。

①フィラー(主に金属粉)

導電性、磁性などの特性を有する粉末で、シールド特性に最も起因するものである。

②樹脂バインダー

接着性の特性を有する。

③硬化剤

硬化性の特性を有する。

④添加剤、溶剤

作業性、分散性に寄与するもの。

①フィラーにおいては、導電性フィラーには、銀粉、銀メッキ銅粉、ニッケル粉、カーボン、グラファイトなどがある。

上記のフィラーは、一般塗料の顔料と比較すると比重が大きく、かつ多く配合されているため、沈降しやすい傾向があり、塗装作業前には充分な撹拌を行う必要がある。

2. 電磁波シールドの使い方

一般的な使い方は、スプレーガンを用いた塗装がメインになる。

“塗料”の大きな利点は、作業工程と設計の任意性にあると考えられ、実際の作業現場において工程の段取りを臨機応変に変更することや、塗装を必要な個所にのみできることで、筐体等の不必要な重量の増加を抑えることができ、軽量化の特徴を維持しつつ許容できるシールド性能を実現することができる。

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3. 電磁波シールドを使う場所

建築物では、サーバールームや電気室などに設計段階から検討され使用される。一方、工場や医療関係や、多くの電子機器を使うオフィス等では、新たに導入した電子機器と既存の電子機器との間で、電磁波ノイズの干渉が生じる。その場合、例えば、電子機器の筐体の内壁に電磁波シールド塗料を塗装し、「電磁波を外に出さない(エミッション)」「外部からの電磁波の影響を受けない(イミュニティ)」の観点から対策を行うことになる。

その他、ワイヤレスデバイス分野においては、Wi-fiやBluetoothを利用したキーボード、マウス、スピーカー、プリンター、モニター、ハードディスク等があり、それらの機器同士は近い周波数を使用しているため、干渉を起こす場合がある。

今後も、無人化やドローン、RFIDを使った非接触カードの普及等があり、その電磁波ノイズによる不都合な影響を抑制するためにも使用される。

さらに、次世代ネットワークの5G規格の導入は、高速・大容量通信が可能になるが、新たに割り当てられる周波数帯は3.7GHz帯、4.5GHz帯、28GHz帯と更に高周波化される流れがあり、これらの周波数帯に対応できる電磁波シールド塗料を選定する必要がある。

(著)藤倉化成株式会社

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