1.オンサイトテストとは

EMC試験は、次の3つの場所で行われる。

  • ① サイト(Site)テスト:オープンサイトや電波暗室などの試験サイトで行う試験
  • ② オンサイト(On Site)テスト:被試験装置を製造した工場などで行う現場試験
  • ③ インサイチュ(In situ)テスト:被試験装置を使用する場所で行う現場試験

オンサイトテストは、試験実施する現場を試験サイトに見立てておこなう試験であり、判定基準はサイトテストと同じ限度値を用いる。

但し、試験サイトと同一の試験環境が設定できないため、適用規格に整合した試験ではなく、準じた試験となる。試験依頼者は必要に応じて第三者認証機関から試験結果の適合証明書を得ることもある。

一方、インサイチュテストは、試験規格のCISPR 11(工業・科学・医用のエミッション規格)で試験手順や限度値が定められている。電源線妨害端子電圧の要求はなく、放射エミッションのみで、規格適合の合否判定できる。

2.オンサイトテストの利用について

EMC試験は基本的にはサイトテストが優先されるが、サイトテストが利用できない場合はオンサイトテストの利用となる。具体的には

  • ① 試験サイトに搬入できないような大型装置(たとえば3mを超えるサイズ、質量が3トンを超える)
  • ② 純水や各種ガスなど試験サイトで準備できないユーティリティが必要な装置
  • ③ クリーンルーム環境で使用する装置(半導体製造装置など)

3.オンサイトテストの実施場所について

オンサイトテストは、工場などで実施する関係で、周囲の環境ノイズが大きくて合否判定ができない場合がある。このため、工場設備が停止する夜間や休日に行うことがある。

また、放送波や携帯電話などの電波は排除できないので、これらの周波数については、合否判定ができない。

放射ノイズの試験時は、測定アンテナと被試験装置の離隔距離が最低3m以上必要なため、被試験装置の周囲4m程度はスペースを空ける必要がある。

漏えい電流が大きい試験器を用いる試験があるので、供給電源の漏電ブレーカがトリップする場合がある。

トリップ回避するために供給電源と試験器間に絶縁トランスを設置するか、漏電ブレーカの遮断電流設定を試験器の漏洩電流よりも大きな値に調整する必要がある。

電源端子妨害電圧試験では、供給電源がノイズを多く含んでいる場合があるので、まず、供給電源のノイズ対策を行う必要がある。具体的には、供給電源-擬似電源回路網(AMN)間にノイズフィルタを設置し、供給電源のノイズが規格限度値よりも低い(△6dB以上)ことを確認する。

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4.その他

オンサイトテストの規格試験の不整合となる項目については、大きく次の2つの電磁放射試験があげられる。

① 放射エミッション試験

オンサイトテストの電磁環境は、サイト試験の電磁環境(試験場所の電磁波の減衰が理論値に近い空間に調整されている)と異なるため、正確な測定値とはならない。

② 放射イミュニティ試験

オンサイトテストでは、電波法に抵触するためサイト試験のようにアンテナから電磁放射して試験を行うことができない。代替試験として、トランシーバや携帯電話を用いた試験を行うが、使用する周波数帯がスポットとなり、規格要求の全周波数帯はカバーしていないので評価不足となる。

卓上機器の伝導エミッション試験の配置模式図
図 c. 卓上機器の伝導エミッション試験の配置模式図

(著)双信電機株式会社